栄養学から見たモリンガの可能性【後編】

栄養学から見たモリンガの可能性【後編】

和洋女子大学健康栄養学科教授・本三保子(もと・みほこ)先生の著書である、『栄養学の研究者が臨床試験データで解説する「モリンガの実力」』との出会いから、本先生にお話しを伺う機会を得た研究員のMIKITOMO
【前編】では、先生とモリンガとの出会いから、モリンガの魅力、そして付き合い方についてご紹介いたしました。
【後編】では、本先生が研究結果から導きだしたモリンガの可能性についてお届けいたします。(研究員TOMO

*前編は コチラ(URL:https://aringamoringa.com/blogs/column/moringa_no_jitsuryoku1)

―先生が普段行われている栄養学研究について教えてください

私は主に食品機能学というものに携わっています。
食品の機能は栄養をとる一次機能と、美味しさの二次機能、そして身体の調子を整える、生体機能調節の三次機能の3つに分類されます。
その三次機能において、健康維持増進に繋がる食品や食品成分の効果などを研究しています。
まさに、モリンガ研究はその一環ですね。

論文に発表されたモリンガ研究についてお聞かせください

インド原産のモリンガは、アジアやアフリカで栽培され、古くから食用として用いられていました。日本では、沖縄や九州地方で栽培されていて、葉を乾燥したものをお茶として飲まれていることが多いようです。しかし、日本人に対しての検証があまりされていないという点に着目しました。
そのため、私自身がモリンガ葉粉末を摂取した結果排便が改善されたという体感をもとに、食物繊維も豊富なモリンガ葉粉末を継続摂取することで、排便状況に及ぼす影響を検証しました。
便秘傾向にある若年女性を対象に公募したところ、被験者として42名がエントリーしてくれました。
しかしながら、16名が医薬品の摂取や、ルールに沿った対応をできなかったため、最終的には26名の被験者になりましたが、いくつかの条件下のもと、朝・夕食後にモリンガ粉末を各3カプセルずつ摂取し、排便の記録を付けてもらいました。
"便秘傾向"とは、11回の排便がないということを意味します。
今回の検証は、便秘傾向の若年女性に限られていますが、
モリンガ葉粉末を摂取することにより排便状況を改善することができました。

学生の皆さんは実証研究にとても協力的ですね

そうですね。研究への参加は、本人の同意のもとに協力をいただき、協力者には謝礼をお渡ししますが、興味を持ってくれるのでありがたいです。
その後、モリンガについては、種子オイルの肌改善効果についても検証し、学会報告しました。
学生は、研究に参加することで、食品の機能性の評価方法を学ぶことにもつながります。

―栄養バランスが良いモリンガですが ”バランス” って説明が難しいですよね

前編のお話しにもでましたが、モリンガには多種の栄養素が入っています。特に、日本人に不足しがちなビタミンやミネラルが豊富に含まれているのも大きな魅力です。
たしかに、“バランス”という表現は、満遍なく均等にという意味でもよく使いますね。
そもそも、“健康を保つために、
バランスの良い食事をとりましょう”と言いますが、「なぜ?」と、なります。
小学生
を対象に授業をする際には、「黄色、赤色、緑色の食べものをバランスよく食べましょう」と説明します。
黄色の食べものには、いわゆるエネルギーになるお米やパンなどの炭水化物、赤色の食べものにはお肉など筋肉の元になるタンパク質、緑色の食べものには野菜や果物にビタミンやミネラルが含まれています。
なぜバランスが必要かというと、たんぱく質によってからだを作っても動かすためにはエネルギーが必要です。炭水化物は食べたらそのままエネルギーになるわけではありません。エネルギーになるためには化学反応が必要になります。
化学反応を進めるためには酵素が必要なります。酵素はたんぱく質でできていますが、酵素の中にはビタミンやミネラルが必要なものがあります。
小学生には少し難しいかもしれませんが、「なぜ、バランスよく食べる必要があるのか」を伝えることが重要なのです。

血圧が高めの方がモリンガ葉茶を飲み続けたら数値が落ち着いたという声もあります

可能性としては、症状改善があるかもしれませんね。
動物実験の結果でありますが、モリンガ葉抽出物の血圧改善効果が報告されています。モリンガ葉には、血圧低下作用が期待できるGABAγ‐アミノ酪酸)を多く含むことが確認されています。今後は、人を対象とした検証が必要だと思います。

―その他に研究を進めている食材はありますか?         

現在は、ビーツに着目して研究しています。
ビーツは、最近、日本で食されるようになった野菜の一つです。ビーツはオリゴ糖を含むため、腸内の有用菌増殖作用が期待できます。

―最後に、今後モリンガのマーケットには何が必要でしょうか?

市販されているのは、海外で栽培された乾燥品が多いので、国内での栽培が進むとよいと思います。そうなれば、葉を生野菜として食すことはもちろん、花や実も食すことが可能になります。
モリンガ自体は、とても強い樹木なのですぐに育つと聞きますし、国内で栽培している方も増えていらっしゃいます。今後に期待したいですね。 

今回は、貴重な機会をいただきありがとうございました。私たちは研究員として、これからもモリンガの魅力を伝えていきたいと思います!

 

【プロフィール】

和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授・博士(農学)
本 三保子(もと・みほこ)

信州大学大学院農学研究科修士課程修了。
食品機能学の研究に長らく従事し、食品の生体調節機能について研究。
食品や食品成分の排便促進作用、血糖値上昇抑制作用などの研究を続けている。
日本乳酸菌学会編集理事・編集委員、日本臨床栄養学会評議員、日本臨床栄養協会評議員。

著書:栄養学の研究者が臨床試験データで解説する「モリンガの実力」(ダイヤモンド社)