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沖縄県北部、本部町の小高い丘の上に建つカフェ。
ここはモリンガのメニューを中心に、マッサージなどリラクゼーションサービスも展開する憩いの場。
「坂道がかなり急勾配なので、お車はぎゅーっと(アクセルを)踏み込んで登ってくださいね!」お電話でそう明るく伝えてくれたのは、今回インタビューを受けてくださった仲宗根和泉さん。
彼女の持つふんわりとした柔和なイメージの中に、お母様と一緒に夢を叶えるという強い気持ち。この場所で芽吹いた新しいモリンガの物語を感じるインタビューになりました。
さて、和泉さん。なぜこの場所でモリンガのお店を始めたのでしょうか・・・?(研究員MIKI)

かなり坂道が急勾配で大変でしたでしょう(笑)。
この場所でカフェを始めたのは昨年(2024年)の10月です。その前までは本部町営市場の方でモリンガ茶の販売とマッサージ、あとはご注文をいただいたスイーツの受け渡し場所としてこじんまりやっていたんです。
私はリラクゼーションサロンでマッサージの施術を行っていた経験があって、その後に保育士になったんですが、心のどこかにリラクゼーションの仕事がまたやれたらなぁ、と思っていたんです。
母が、いつか自分のお店を持ちたいという夢を持っていたことを知っていたので、それならば私がマッサージの傍らで店番をしようと。
実は母が十数年前に、もともと弱かった股関節の調子が悪化してしまって歩くのも厳しい状態になってしまって・・・でも本人は、歩けないからといって何もしないのが耐えられなかったのか、そんな状況でも自分に出来ることはないか?と模索しはじめたんです。
そんな時に「モリンガ栽培やってみたら?」と勧めてくれた方がいたんです。
モリンガは、植物としてとても強いので栽培はそこまで手がかかるものでもないし、栄養価が高い植物。収穫して自分で使ってもいいし、何なら販売すればいいんじゃない?となって。
最初は見よう見まねで始めて、歩行に支障がある母でも栽培ができるようになってきて、私もそれを一緒に手伝うようになりました。母が少しでも楽しくやってくれれば、という軽い感じのスタートだったのですが、収穫して茶葉を商品化しようとなって。でも、ゼロから始めてみたものの、いざ作ってみたら販売ルートも無いし・・・そこで母の夢だったお店をやってみよう!と思い立ったんです。

実際に販売を始めると、「モリンガ?何それ?」という反応がものすごく多くてショックでしたね・・・沖縄でも生産されているし、世界でも流行り始めていると思っていたので、こんなに知られていないんだということを思い知りました。
手に取ってもらうどころか目にしてもらうことすら難しいような日々が続いて・・・でも、下を向いていても何も始まらないし、まずは知ってもらうためにどうすれば良いかを考え始めました。そこで手始めにモリンガ入りスイーツを作ってみるようになったんです。
自分で葉っぱの粉砕機を購入してパウダーにして、最初はシフォンケーキから始めました。作ってみたら思いのほか美味しいし、栄養価の高いモリンガを使っているのでカラダにも良いし、スイーツは誰でも食べられるし、受け入れられやすい。
モリンガの魅力を発信するのにはピッタリでしたね。

シフォンケーキから始まったんですが、そのうちに、色々なメニューにモリンガを入れてみたくなってしまって。子供の食事を作りながら、こういうものにも使えるな〜、こんな料理もできるな〜、など考えたりして。結果今のカフェ業態にも結びついた感じです。
母も手術を受けて無事に退院。歩行にもある程度困らなくなったので、今では一緒にお店番をしたりして楽しく働いています。母はやりたかったことが実現して充実した毎日ですね。
私はリラクゼーションも継続してやりたかったので、この場所ではマッサージの他にもモリンガ蒸しも取り入れているんです。モリンガ蒸しをやった日は睡眠の質が変わってくるのが実感できて、本当にぐっすりと眠れますし、肌質も変わってくるんです。健康だけでなく美容面でも効果があると感じています。
自宅ではパウダーにしたものを水でペースト状にしてパックにしたり・・・これは肌荒れが改善されて肌のキメが細かくなった気がします。自分で栽培から粉砕まやっているからこそ、贅沢に何にでも使ってます(笑)

(写真左上より)
●ヒラヤーチー
沖縄では定番のメニューも、モリンガを混ぜ込んで一工夫。
●グリーンカレー
カフェを始めるきっかけとなった大切な方からのリクエストメニュー。
●ぜんざい(ICE)
氷の中にあずきが隠れた沖縄スタイルのぜんざい。モリンガもちが入っています。
●シフォンケーキとモリンガラテ
モリンガのシフォンケーキはお店でも大人気。ホットミルクにモリンガを混ぜ合わせたラテと一緒にどうぞ。
これにも、これにも、あ、これにも・・・(笑)
全部ではないですが、多くのメニューにモリンガが入っています。
グリーンカレーは、モリンガを紹介してくれた方がグリーンカレーが大好きで、「カフェをやるなら絶対にグリーンカレーをメニューに!」というリクエストがあったんです。モリンガのきっかけとなった方なので、そりゃメニュー入り決定ですよね(笑)
カレーの緑はモリンガの色で、ライスにもモリンガを入れて炊いています。ターメリックライスならぬモリンガライスなので若干緑色がかっているのが特徴です。
ヒラヤーチーは沖縄料理で、これは母の考案メニューです。いつも父の晩酌でつまみとして登場していたものに、モリンガを混ぜています。
ティータイムは、やはりスイーツ系とモリンガラテなんかもよく出ています。
カフェ業態にしてから、ご近所のみなさんが集まってくれるようになって、自由なスタイルで楽しんでいらっしゃいます。おしゃべりしたり、読書したり、ワークショップみたいなことをしてみたり。カフェとリラクゼーションを融合しているので、とにかくゆったりリラックスして過ごしてもらえる場所になるのが嬉しいですね。
これからは、この場所を使ってこども食堂とかにもチャレンジしてみたいと思っています。
ただ食事を提供する場所ではなく、子どもたちと一緒にモリンガを使った料理作りを楽しんだり。
母と作ったこの場所で、自分の手で作ったモリンガを、もっともっと楽しんでもらえるようにしていきたいですね。

モリンガカフェ&リラクゼーションサロン「仲宗根さんち」
仲宗根 和泉(なかそね・いずみ)
保育士やマッサージの仕事を経て、母の始めたモリンガ栽培をきっかけにモリンガに関する商品開発。店舗を持ちたいという母の夢を一緒に叶えつつ、自身のやりたかったリラクゼーションの分野にも事業を広げ、モリンガカフェ&リラクゼーションサロンとして「仲宗根さんち」を2024年にオープン。近隣住民の憩いの場であるともに、遠方からも多くのモリンガファンが訪れている。
●仲宗根さんち(営業日についてはお問い合わせください)
〒905-0214
沖縄県本部町字渡久地870−3
TEL:070-3801-6263
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