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今回お話しを伺ったフランス料理店「La.miroir(ラ・ミロワール)」オーナーシェフの上谷さんは、お店で提供されている料理にモリンガを使用。
「余計な調味料は使わない」とおっしゃる上谷さんとモリンガは相思相愛の仲。このお店で生まれた色々なエピソードも、上谷さんのお人柄が伝わってくる心温まるものばかり。こういう場所から、モリンガの良さが広がっていくことが予感できる、素敵な時間でした。(研究員MIKI)

原点で言えば、父が漁師だったので、幼少期から料理に携わることが多かったことかもしれません。当時の沖縄の経済状況などを考えると、やはり技術を身につけることが必要じゃないかと、料理の世界に入ろうかな〜くらいの軽い気持ちがスタートですね。
そこで高校卒業後に大阪にある辻調理師専門学校に、近くの寿司屋に住込みで働かせてもらいながら通いました。
最初は漠然と「このまま寿司屋になるんだろうな〜」と思っていたのですが、専門学校で華やかなフレンチシェフの格好を見てしまって、こんな世界があるんだ!と。
あの背の高いコック帽、あれにはやられましたね(笑)。
卒業して沖縄に戻って、当時の万座ビーチホテルに就職して本格的にフレンチにのめり込んでいきました。
周りの人たちからは「あいつ3年は続かないだろうな」と言われていました。そのくらい厳しい世界であることは間違いありません。でも、万座の経験が今の自分の本当の原点になっているので感謝しています。
通常のホテルダイニングは、料理長がメニューを決め、部門毎に仕事を振り分けられて、この通りにやりなさいということが多いのですが、万座の当時の料理長はちょっと違っていました。例えばメインがステーキであれば、ソースまでは決められた通りにやりますが、付け合わせやオードブルの組み合わせなどは担当者に一任してくれるスタイルで。とにかく一所懸命食材に向き合って、イメージを膨らませ、新しい食材にも色々チャレンジできるようになりました。

ホテルにいる時、初めてフォン・ド・ヴォーを作る際にアクを一所懸命すくって捨てていたら、ものすごく怒られたんです。そのアクの中に出汁は入っていないのか!?と。青天の霹靂でしたね。野菜だって、皮から立派な出汁が取れるし、有機の玉ねぎなんか、皮から本当に美味しい出汁が出るんです。食材本来の持つ味が料理の基本だということに気がつきましたね。
そういった経験もあって、ラ・ミロワールでは食材は厳選したものを使用して野菜は有機野菜、そして無駄な調味料は一切やめて、食材jの味を活かすことにしました。調味料といば、今では塩とコショウしか使っていません。
実はモリンガを使ってみようと思ったのは、そもそも私の尿酸値に少し問題があって・・・友人からモリンガを摂取するのを勧められたんです。でも、元々こういう青臭いものは抵抗があって。イヤイヤながらもARINGA MORINGAを飲んでみたら、あまりにも飲みやすくて驚いちゃって、こんなに美味しくて栄養価も高いならば、料理にも使ってみよう!となったんです。修行時代から新しい食材を取り入れることには抵抗もなかったですしね。
今では尿酸値の薬もやめられたので、モリンガパワーには色々驚かされています。
使ってみたところ、モリンガは料理に入れると味に奥行きを出してくれるというか、味を複雑化してくれるんです。
これって、やはり食材としてのモリンガの、本来持っている特徴なのだと思うんですよね。

通常のコースで、デザートを始め、メインの料理などにも使用しています。
今日ご用意したものは、お食事のメニューがパンを含めて4種、デザートは2種類です。
これだけでも、色々使ってみているのが分かっていただけるかと思います(笑)。思いついたら色々作ってみているので、もっともっと種類はあるのですが・・・SNSにも掲載しているので、そちらも見ていただけると良いかもしれませんね。
モリンガは、どうしても熱に弱いという一面があります。熱を加えると味も色も飛んでしまって、色々試したのですが難しいですね・・・温度が2〜3度違うだけでも味が急に変わってしまったり。栄養価のことを考えても、やはり熱を加えずにできる前菜などのメニューを増やせればと思っています。
今後はメニューの幅も広げつつ、実はお昼の時間を利用して、障害者向けの就労移行支援を実施していく予定です。具体的には調理方法やサービスの勉強、それに加えて生産者の元へ行って食材について学ぶといった感じで、モリンガの畑なんかも行ってみたいですね。
フレンチレストランという特化した分野では全国で初めての試みのようなのですが、自分たちが教えてもらった考え方や目標の持ち方みたいなものを伝えながら、ハンディキャップがあっても社会の役に立てると思ってもらえる、レストランでも活かせる、そんな血の通った支援ができたらと思っています。まだまだこの店から発信できることは沢山ありますね。

【本日のメニュー】
●モリンガのヴィシソワーズ
冷製じゃがいものスープ。ふわっと香るモリンガが特徴的。
●モリンガの衣をまとったマグロのミキュイ
半生状態のマグロに、モリンガを混ぜこんだ衣を纏った一品。
●緑のシチュー
パルミジャーノをトッピングしてオーブンにて焼いた、モリンガ入りのホワイトシチュー。
●モリンガパン
モリンガを練り込み、鮮やかな緑色が特徴的なパン。
●モリンガとホワイトチョコレートのテリーヌ&モリンガとアップルバナナのクレームブリュレ
大好評のモリンガ入りデザート。付け合わせたパイナップルは酵素が多く入っているのでモリンガとの相性も抜群。お酒にもぴったりな一皿に仕上げている。

La.miroir(ラ・ミロワール) オーナーシェフ
上谷 喜美夫(うえたに・きみお)
沖縄県出身。大阪の調理師学校卒業後、当時の万座ビーチホテルにてフランス料理を学び、1994年に独立開業。お客様のストーリーを大切に、レストランに訪れた目的を最大限楽しんでもらえるようなサービスを心がけ、記憶に残る時を刻んでもらえるよう、夫婦二人三脚で奮闘中。

●La.miroir(ラ・ミロワール)
〒901-2132
沖縄県浦添市伊祖2-30-2 アーバンビル201
098-874-3659
https://kimishimagroup.okinawa